夫婦でお店を営む
今でこそ、凄腕の女性シェフとして脚光を浴びるnaоさんだが、もともとは飲食店運営企業のバックオフィス出身。「もっと輝ける舞台」を求めて、沖縄のリゾートホテルに転職。現在のパートナーでもあるサービスマン、本橋
健一郎氏との出会いが料理人を志すきっかけとなった。
「他のサービスマンとは全然違う。人間味があって、温かいサービスに惚れ込みました」
2人で、つくば市にレストランをオープンすることを決意。必然的に、naоさんはキッチンを担当することに。調理学校に通ったこともなければ、有名店での修業経験もない。ほぼ独学で、料理の道を極めていった。
「最初の1年くらいは、泣きながらフライパンを振っていました。自分のイメージする味を再現できないのがつらくて、投げ出したくなるときもありました。それでも、ついてきてくださるお客様がいたので、がんばってこれたんです」
もう1つ、立ちはだかる壁があった。周囲の女性シェフに対する偏見だ。
「『えーっ、あの人が料理するの?』と言われたこともあります。すごく悔しかったけれど、結果を残すしかないと思いました」
5年後、「東京で勝負しよう」と恵比寿に「JULIA」をオープン。多くのお客様の支持を集め、確かな地歩を固めていく。
「2人のつくりだす空気感がいいとか、『また来たくなるんだよ』と、リピーターになってくださる方が多いんです。若い人では、なぜか同業者率がとても多い。目標とされる存在になれたなら、うれしいですね」
今年6月には、外苑前に移転オープン。さらにパワーアップした新生「JULIA」で、naоさんは充実の日々を送っている。
「独立から7年、お客様と一緒に月日を重ねてきた気がします。毎日、楽しいことしかありません。もちろん、大変なこともいっぱいあるけれど、自分の好きなことを仕事にできるのって幸せだなと実感しています」