- エフラボトピックス
- 飲食業界で活躍する人に話を聞いてきた
- 食の仕事の可能性03 「TREX TORANOMON CAFE」店長 今泉和也氏、スタッフ 箕山璃咲氏
- かつて、「食べること」はヒトが生きるための手段だったけれど、今はそれだけじゃない。「食」という仕事の意味はますます広く、面白くなっている。食の仕事を“愉しむ人”になること。その先に広がる未来の地図は、まばゆい輝きを放っている。
虎ノ門エリアの大動脈である新虎通りの街角、虎ノ門ヒルズの目と鼻の先にある『TREX TORANOMON CAFE(トレックス トラノモン
カフェ)』。訪れる人がまず目にするのは、店舗の軒下にならぶ「RENT
ME!」の札が下げられた自転車と、ラックに立てかけられた色とりどりのスポーツバイク。ここは、“カフェとサイクルツーリズムの融合〟をテーマに、「サイクリストやオフィスワーカーの賑わいを生むためにつくった場所」(店長の今泉和也氏)。
この『TREX TORANOMON CAFE』を運営するのは、“カフェを通した街づくり〟というビジョンを掲げて事業展開を行う、株式会社
ダブリューズカンパニー。六本木にある複合施設「アークヒルズ」を、もっと人が集い活性化する場所にすることを目的として立ち上げたカフェ『ARK HiLLS
CAFE』や、ハウスメーカーとコラボレーションして作り上げた豊洲のコミュニティカフェ『CAFE;HAUS』など、その街で暮らす人々のライフスタイルに合わせた、“新しい形のカフェ〟を提案している。
ライフスタイルに合わせた“新しい形のカフェ”
『TREX TORANOMON
CAFE』は、飲食ができる『CAFE』と自転車のメンテナンスサービスを受けられる『FACTORY』で構成されており、平日のランチ時はボリューム満点の定食を目当てに、夜は気軽に飲める立ち飲み屋として近隣で働く人たちの人気を集めている。
また、週末は、都内の観光名所を自転車でめぐるツアーやスポーツバイクのレンタサイクルを目当てに訪れる海外からのツーリストや、サイクリングの休憩や自転車のメンテナンスなどを目的としたサイクリストで賑わう。この日訪れた客に話を聞くと「これまで港区には自転車ショップがありそうでなかったので、このお店ができてからはとても便利。定期的に通っています」とのこと。隣に『CAFE』があることで、メンテナンスの待ち時間をゆったり過ごしたり、トライアスロン仲間で飲み会などを開催するときに利用したりするのだという。
「コミュニケーションをつくる」飲食業の可能性
「当店では、お客さまとのコミュニケーションをなにより大切にしています」と今泉氏が語る通り、カウンターキッチンでオープンな造りの店内は、店舗のスタッフと客が自然とコミュニケーションを取りやすい設計となっている。客席数30席前後のスペースを5名前後のスタッフで運営するボリューム感もほどよく、スタッフとの会話を楽しみに訪れる常連客も多い。
「飲食を通して人と人とを繋ぐこのカフェで働きたかった」と語るのは、入社1年目の箕山璃咲さん。美術大学を卒業して飲食業界に飛び込んだ変わり種だ。PCの前でじっとしているデスクワークより、キッチンで仕込みをしたり客と会話をしたりと、変化のある飲食の仕事の方が自分に向いていると感じている。『TREX
TORANOMON CAFE』の一員として他のスタッフや訪れる客とのコミュニケーションを楽しむことは、彼女にとってなによりのモチベーションにつながっているのだろう。
「先日異動の話があり、常連さんに「もしかしたら……」と伝えたところ、『私はあなたと話したくて来ているのに』と言ってくださったんです」。その後異動の話はなくなったが、この仕事に就いてよかったと感じた一番のできごとだったという。
ただ食べたり飲んだりする場所というだけではなく、日夜、海外から日本を訪れた人たちや、自転車という共通の趣味を持つ人たち、地域で働く人たちや暮らす人たちが集い、店舗スタッフも巻き込んだコミュニケーションを生み出す『TREX TORANOMON CAFE』。今後は自転車に関するワークショップや地域の他店舗とコラボしたイベントなども企画しているという。きっとこの先も、さまざまなコミュニティの中心地としてさまざまな人が訪れる、この街に欠かせない存在になっていくことだろう。
- 『TREX TORANOMON CAFE(トレックス トラノモン カフェ)』
- 〒105-0003 東京都港区西新橋2-17-4
TEL: 03-6435-7581
公式ホームページ
2020年2月掲載