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伯龍宗良 銀三鋼の柳葉包丁
匠 進吾
店主 高橋 進吾さん
1978年生まれ。茨城県出身。中学生のころから飲食業界への憧れを持つ。高校へ進学するが16才の時に寿司職人であった叔父の薦めもあり、「すし匠」の中澤圭二氏の下で18年間学ぶ。一度は飲食業界を離れるも、改めて寿司職人として生きていくことを決意。2013年5月に南青山にて「匠 進吾」を開く。
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8年前に東京・南青山に誕生し、多くのお客様に愛される寿司の名店「匠 進吾」。その店主である高橋 進吾氏が愛用しているのが「伯龍宗良(ハクリュウムネヨシ)」の名が刻まれた銀三鋼の柳葉包丁。
高橋氏とこの包丁の出会いは、寿司職人としての修業時代。当時、お店に出入りしていた流れの包丁屋さんから購入したもので、当時の値段にしておよそ3万円位であったという。今も仕込みなどの様々な場面で活躍している。「これは僕がこの業界に入って初めて自分で購入した柳葉包丁です。22~23才の時に買ったものなので、もう20年近く使っていますね。独立前の話なのですが、実は一度、少し飲食業界を離れて、地方を転々としたことがあります。その時も肌身離さず、この包丁はずっと持っていました。言ってみれば、僕の料理人人生とほぼ同じ位の年月を一緒に歩んできことになりますね。もちろん、刺身を引ける包丁であれば仕事はできるので『これでないとダメ』ということはありませんが、僕の半生はコイツと一緒にやってきたので、愛着はありますよ」
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営業中は、更に切れ味を増した鋼材で、柄を黒檀に変えた同じサイズの柳葉包丁を使っているため、現在は仕込み用として〝裏方〟で活躍してもらっているという。仕事が順調な時もうまくいかない時も、常に一番近い場所で高橋氏の仕事を見てきた。言わば戦友とも呼べる存在だ。
「もちろん、毎日手入れはしています。刺身を引いていても微妙な感覚で切れ具合に違和感を感じるので、包丁は1週間に1回はしっかりと研いでいますよ」
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包丁に限らず、道具は大事に扱えば長持ちする、その気持ちを忘れたくはないという。
スタッフから包丁の選定でアドバイスを求められれば、もちろん一緒に考えてくれる。現在は鋼材価格も上がっており、一生使えるような、高品質の包丁は決して安くはないからだ。「1本20万円もするような高価な包丁は使い勝手が良く、長持ちするかもしれません。しかし最初から良い包丁を選ぶということよりも、その時、その子がどんな仕事をしているか、どんな包丁を必要としているかで選ぶべきものは変わってきます。最初から板場に立って刺身を引くなんてことはしないでしょう。まずは魚をおろしたり、野菜を切ったりすることから始めるはずですので」
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また料理人として生きていくのであれば、道具だけでなく技術や知識を増やすことも忘れてはならないという。
「修業中の身であれば、道具にお金を使うよりも、普段気軽に食事に行けないようなお店に行って、一流の料理を味わい、一流のサービスを見て勉強するために自分に投資してもいいのではないかなと思います。もちろん、道具だけ高価なものを揃えても、技術や気持ちが備わってなければ決して一人前とは言えませんから」
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最後に高橋氏から、これからの飲食業界の将来を担う若手へのアドバイスをいただいた。
「今の若い子は最初のやる気はありますが、長く続けていこうとする気持ちがついてこないことがあります。仕事をしていれば誰しも壁にぶつかります。その壁の前で立ち止まって引き返すのか、乗り越えるのかは本人次第です。いつまでも嫌なことや大変なことから逃げ続けることはできません。だから周囲に変化を求めるよりも、自分が変わったほうが早いこともありますよ」
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食感・味・香りを大切に、お酒と楽しめる鮨・一品料理を提供する寿司の名店。“おいしい”より“たのしい”の声が飛び交うアットホームな空間で、江戸前の技法を大切にした正統派の鮨を味わうことができる。
2021年9月掲載